apple-polisher V edition 本日発売!!

皆さまこんばんは! ダイナミックコード広報担当の新井です(=゚v゚)

6月もあと数日となり、関東の梅雨明けも徐々に近づいてきている様子。季節の変わり目で疲れた身体を、室内でゲームをしながらリセットするのはいかがでしょうか?

それでは、本日もDYNAMIC CHORDの情報をお届けします!


 

◇◆DYNAMIC CHORD feat.apple-polisher V edition◆◇

 

apple-polisher V edition
*:..。o☆\本日発売!!/☆o。..:*

 

遂に本日、PS Vita版『DYNAMIC CHORD feat.apple-polisher V edition』が発売となりました~!!

公式サイトでは一週間に渡りapple-polisherメンバーとゲストによるカウントダウンボイスを配信してきました。
grieflullabyや友人知人を巻き込んでのドタバタカウントダウンボイスはいかがでしたか?
本日も最後のカウントダウンボイスを配信中です!相変わらず賑やかで騒がしいapple-polisherメンバーと相模原の様子を楽しんでください

聴き逃してしまった~!という方…大丈夫です!

カウントダウンボイスはV editionの中でも聴くことが出来ますので、お時間のある時にじっくりお楽しみくださいね

 

★今週の更新

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Specialページを公開!
V editionの発売を記念し、PS Vita用壁紙を配布しています。

*★*―*☆*☆*―*★**★*―*☆*☆*―*★*

PS Vita用の壁紙は全部で5種類ご用意しました。
ぜひお手持ちのVitaの壁紙に使ってください

 

さらに! ブログをご覧の皆さまへ、スマートフォン用の壁紙をプレゼントいたします

※画像をクリックで大きい画像が表示されます

■NaL

■Toi

■UK

■Kuro

PS Vitaの画面もスマートフォンの画面もapple-polisher尽くしにしちゃってください

 

▼apple-polisher V edition公式サイト

 

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V editionで彼らの物語を堪能した後は、追加シナリオに入る前にちょっと目を休めて、『DYNAMIC CHORD love U kiss series』を楽しむのはいかがでしょうか?

通称ラブキスシリーズ。こちらのCDでは、本編後の彼と恋人同士になった後のストーリーが楽しめます。

▼DYNAMIC CHORD love U kiss series vol.13~Kuro

▼DYNAMIC CHORD love U kiss series vol.14~UK

▼DYNAMIC CHORD love U kiss series vol.15~Toi

▼DYNAMIC CHORD love U kiss series vol.16~NaL

apple-polisherのラブキスのジャケットには擦るとりんごの香りがする特殊加工が施されているので、耳だけでなく鼻でも(?)apple-polisher楽しめちゃいます(=゚v゚)

 

love U kiss seriesの詳しい情報はこちら!

 

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V editionラブキスCDが揃えば準備万端です!

apple-polisherの4人が積み重ねてきた時間や、紡いできた繋がり、そして彼らの音楽に対する情熱の物語を、どうぞお楽しみください(=゚v゚)♪

DYNAMIC CHORD feat.apple-polisher V edition主題歌
『Star-flakeS』

 

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さて!

今週と来週のブログでは、以前に旧ブログでもお届けしたapple-polisherのゲームのプロローグ部分にあたるシナリオを2回に分けて公開したいと思います。

ゲーム内ではヒロイン視点で描かれているプロローグ。
こちらのシナリオでは、成海視点で描かれています!

apple-polisherが結成されてから、ゲームの本編が始まる2016年2月までの出来事を成海が振り返っています。

本日お届けするのはapple-polisherの出会いから結成までを振り返るシナリオ。
2回に分けていますが、1回ずつがとっても長いです…!

ゲーム本編のネタバレを含みますので、まずはゲームで楽しみたい!という方は、ぜひプレイ後に読んでみてくださいね。

予備知識をつけて臨みたい!という方は、『続きを見る』をクリック

 

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apple-polisherプロローグシナリオ
【Girl meets Boys~side NaL~】

 

響く歓声、まばゆいライト。
それらはすべて、ステージの上にいる3人の男達に注がれている。

彼らが今日の主役――grieflullabyだ。

そのギターでありリーダーの、桔平さんの声がマイクを通して響き渡る。

【桔平】
「それじゃあ、ここで俺らの可愛い後輩にして、
今世紀最高の歌姫を紹介するぜ!」

【翼】
「ほら、来い」

ヴォーカルの翼さんにも呼ばれ、舞台袖から綺麗に着飾った歌姫が
ステージの中央へと歩いてきた。
それが誰なのか分かると、周りから一斉に歓声が上がる。

シンガーの、『Miu』だ。

彼女は今回のグリララのライブツアーで、ゲストとして毎回出演する事が決まっていた。
俺も何度か名前を聞いた事はあったけど、実際目にするのは初めてだった。

翼さんが頷いて横にずれると彼女は軽く頭を下げ、中央に立ち、
今度は客席へ向かって頭を下げる。

【美羽】
「……はじめまして」

わずかに声が震えている。

【美羽】
「今回は、grieflullabyのライブにお邪魔させてもらい、
ありがとうございます」

【美羽】
「シンガーの、Miuです。今日は、よろしくお願いします」

どうやらトークはあまり上手くないらしく、
彼女はそれ以上喋らず、歌の準備にかかった。

そんな彼女を見ていたら、隣にいた俺の仲間がどこか楽しそうな声で呟いた。

【夕星】
「へえ、綺麗な子じゃん」

夕星の呟きは、俺を挟んで座っている有紀にも
聞こえていたみたいで、ひょい、と顔を向けた。

【有紀】
「でも、夕星の好みじゃないだろ」

すると夕星は片方の眉を吊り上げて、唇を尖らせた。
どうやら、図星らしい。

【夕星】
「はぁ~、有紀にオンナの好み把握されてるとか、気持ち悪い。
マジ萎える」

夕星は肩をすくめ、わざとらしく舌を出した。
そんな夕星に、有紀は「悪かったな」と言いながら、苦笑いを浮かべた。
そのやり取りがおかしくて、つい笑ってしまった。

ステージ上ではグリララのメンバーが音を調整している。
その中には、俺達の仲間でベースの忍がいる。
今日は、忍がグリララのサポートで参加するというのでこうして見に来たのだ。

忍は相変わらずクールな顔で淡々としている。
その姿に、俺は少し羨ましくなった。

だって……俺達ですらまだ立った事のないこんな大きなスタジアムのステージに、
サポートとはいえ立てているんだから。

やっぱり俺も、いつかこんな大きなステージに立ちたい。
そして、同じように……ううん、これ以上のライトと歓声の中で歌いたい。

そんな事を考えていると、周りから音が消えた。
Miuが曲名を口にするのを合図に楽器隊が演奏を始める。

彼女がゆっくりと唇を開いた、その瞬間――
Miuの歌声が響き渡った。

その歌声はどこまでも澄んでいて、
心を鷲掴みにされるような、美しい旋律だった――……。

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【???】
「――い……――おい……!」

【有紀】
「おーい、成海? どうした?」

目の前でひらひらと踊る指にはっと我に返った。

【成海】
「ご、ごめんね。ちょっと昔の事思い出してたんだ」

苦笑していると、後部座席に座っていた夕星がひょい、と顔を出した。

【夕星】
「昔?」

【成海】
「そう、昔。それで、もう着いたの?」

【有紀】
「見ての通りだよ」

言われてフロントガラスから前を見ると、目的地のスタジアムが見えた。

【有紀】
「成海が現実に返ってきてくれた事だし、 そろそろ行きますか」

【成海】
「はーい」

======================================

先に車を降りたのは夕星だった。

【夕星】
「んー! やーっと外に出られたぁ~!」

夕星には窮屈だったみたいで、大きく伸びをしている。
そんな夕星の後に続いて、俺と有紀も車を降りた。

【有紀】
「スタジアムまで少し歩くぞ」

【成海】
「今日がgrieflullabyのツアー初日なんだっけ?」

【有紀】
「ああ。2月から5月の4ヶ月で、主要都市を回るらしい」

【成海】
「いいなあ。俺達もいつかやってみたいね」

【有紀】
「そのうち、そういう話も来るんじゃないか?
まあ……たつおの頑張り次第だろうけど」

【夕星】
「たつおにそんな仕事出来るわけないじゃん」

【成海】
「そんな事ないよ。たつはやれば出来るマネージャーだからね!」

笑い合いながら、俺達は駐車場を出てスタジアムへと歩いていく。

【成海】
「ねえ、グリララさんってずっとベースいないんだよね?
今日は忍がサポートに入ってるけど、
いつもは誰がベースやってるの?」

【有紀】
「誰って決まったヤツはいないな。
知り合いのバンドのヤツとか、ローディのヤツとか……
その時、その時で頼んでるって言ってたな」

【夕星】
「なぁんでベース空けてんのぉ?」

【有紀】
「いろいろあるんだよ」

尋ねたのは夕星なのに、興味はなかったみたいで『ふうん』と気のない返事をした。

【成海】
「有紀、ライブが終わったら楽屋に行くんだよね?」

【有紀】
「ああ。忍にはそう言われてるな」

【夕星】
「えぇ~、めんどくさーい」

【有紀】
「そう言うなよ。俺も久しぶりにあいつらに会いたいしな」

======================================

そんな事を話していると、ライブ目的のファンによるグッズ購入の列が見えてきた。
もう片方には、入場のための待機列も出来上がっている。

【有紀】
「さすがにバレるとまずいからな。成海、マスクしとけ」

言いながら、有紀は変装用のサングラスをかけた。

【成海】
「はーい」

【有紀】
「夕星も、ほら。サングラスしろよ」

【夕星】
「そんなのめんどくさいからやだ」

【有紀】
「面倒でも、やらなきゃ大騒ぎになるだろ」

【夕星】
「女の子達に群がられるなら、僕大歓迎♪」

【有紀】
「ダーメ! ほーら夕星ちゃーん。サングラスしまちょうね~」

【夕星】
「その赤ちゃん言葉、きもいからやめろって言ってるだろ!」

有紀によって強引にサングラスをかけさせられ、夕星は明らかに不機嫌になる。
そんな2人に苦笑しながら、俺は関係者受付の方へ向かった。

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中に入ると、客席に座って開演を待つ。
この時間は、ステージに立つ側でも観客側でもドキドキしてしまう。

ちょっと落ち着かなくて何度も座り直していると、有紀がドリンクを両手に持って戻ってきた。

【有紀】
「はい、どうぞ」

【成海】
「ありがとう! あれ? 夕星は?」

【有紀】
「あれ? 一緒にいたんじゃないのか?」

【成海】
「有紀がドリンク買いに行った後をついていったから、
てっきり有紀と一緒だと思ってた」

【有紀】
「って事は……あいつ、またナンパしに行ったな。
まったく、少しは大人しく出来ないのか?」

有紀は呆れてため息をつきながら、俺の横に座った。

いつもの事だと俺も苦笑しながら、有紀が買ってくれたジュースに口をつける。
それは俺の好きなジュースだった。

【成海】
「ねえ、有紀」

声をかけながら顔を向けると、有紀も同じようにジュースを飲んでいるところだった。

【成海】
「俺と有紀って、結構付き合い長いよね」

【有紀】
「いきなりどうした?」

本当に『いきなり』だと思ったみたいで、有紀は目を丸くしながら、ストローから口を離した。

【成海】
「んー、なんとなく言ってみただけ」

【有紀】
「そっか。なんとなくか」

有紀は苦笑しながら、またストローに口をつける。
その仕草がタバコを吸っている姿とダブった。
俺もまたジュースを飲みながら、視線をステージに向ける。

【成海】
「うん、なんとなく。……今度は客席じゃなくて、
俺達もあの大きなステージに立てるといいなって」

【有紀】
「ああ……そうだな」

有紀は困ったような顔をして笑った。
すると――

【???】
「僕もした~い」

そんな声と共に、俺の肩が重くなった。
振り返るように顔を上げると、夕星が俺の肩に頭を乗せている。

【成海】
「夕星、どこから聞いてたの?」

【夕星】
「大きなステージに立てるといいなってところかなぁ~」

【成海】
「もうナンパは終わったの?」

【夕星】
「ん~? まあねぇ~」

【有紀】
「まさか、もう夜の約束を取りつけてきたんじゃないだろうな?」

【夕星】
「さあ、どうかなぁ~」

夕星は機嫌がいいみたいで鼻歌混じりにイスを引き、どっかり腰を下ろした。

【夕星】
「なるなる、あのステージに立ちたいんでしょ。
僕も賛成だよぉ~」

【成海】
「夕星ならそう言ってくれると思ってたよ!
きっと忍も、同じだって言ってくれるよね」

【有紀】
「忍は照れそうだけどな。
今日だって、俺には大きすぎるって困ってたし」

【成海】
「忍は恥ずかしがり屋さんだね。でも……恥ずかしがってもダメかな。
だって俺達、4人でapple-polisherなんだよ。だから……ステージには4人で立たなきゃね」

俺が笑うと、有紀と夕星も笑顔で頷いてくれる。
その笑顔を見ていたら、俺の脳裏にバンドを結成した時の事が浮かんできた。

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彼らとの出会いを、偶然か必然かと聞かれたら
俺は、必然だと答える。

俺達4人は、誰もが一度は挫折して同じ傷を抱えていた。

それでも音楽が好きで、みっともないくらい音楽にすがって生きていた。
そんな俺達だから、必然的に出会えたんだと思う。

幼い頃、聖歌隊に入っていた俺はハイスクールに入学すると同時に、バンドを組んだ。

歌を歌っていたかった。

俺がバンドを組んだ理由は、ただそれだけ。
でも、俺にはすごく大事なことだったんだ。

俺の気持ちに呼応してくれたのか、
同じように、自分の好きな楽器を演奏したいという仲間が周りに集まった。

最初は全然形にならなかったけど、
それでも俺達なりの音楽というやつを目指した。

いつかはこの仲間とデビューして……
なんてことを夢に見ては、バンド活動に明け暮れる日々。

同じ趣味を持つ仲間と、好きなことをするっていうことが
こんなに楽しいと思わなかった。

だから……楽しすぎて、終わりがくることなんて想像してなかったんだ。

貿易会社に勤めている父親の赴任先が
日本になると聞かされたのは、引っ越しの1ヶ月前。

16歳の春だった。

来月から1年間、日本で過ごすと言われて、
がっかりしたような、ちょっと嬉しいような……
そんな気持ちになったのを覚えている。

バンド仲間はどう思うだろう。
バンドを抜けることになるから、ケンカになるかな?

そんな不安を抱えて引っ越しの1週間前、
恐る恐るバンド仲間へ伝えると、あっさり「解散だな」と言われた。

彼らの口から『待っている』だとか『また1年後、活動を再開させよう』なんて言葉は出てこなかった。
でも、俺達はプロでやっていたわけじゃない。ただ趣味で集まっていただけだ。

だから……所詮こんなもんだよね、と自分に言い聞かせ、
俺は両親と共に日本へ戻った。

日本に戻ってから、俺は1人で歌を歌い続けていた。

出来ればバンドを組んで、また仲間達と熱い音楽をやりたかった。
生の音で歌いたかった。

けど、アメリカでの出来事が尾を引いて、
一歩を踏み出す勇気が出ず、バンドを組むことはなかった。

そんな時、俺は1人の男と出会った――。

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藍鉄区の有名なライブハウス『VIVIANITE』でのライブ後、楽屋を出た俺に声をかけた人がいた。

【有紀】
「なあ、ちょっと俺にナンパされない?」

なんて、おかしな事を言ってきたこの人こそ、
後に『apple-polisher』として一緒にバンド活動をする事になる、青井有紀だ。

もちろん当時は、有紀が仲間になるなんて思ってもみなかったから……。

最初は男の人が好きなのかと思って、
危ない人から逃げなきゃ! とダッシュで逃走。

けど、その後も有紀はしつこく俺に声をかけてきた。
もちろんあまりに怪しすぎて、俺も逃げに逃げまくった。

だって、俺は知らなかったんだ。

有紀の本当の目的は、自分のバンド――と言っても、
その時は有紀しかいなかったけど……
そのバンドのヴォーカルを俺にやってほしいから、だったなんて。

その想いはとても強く、俺がどんなに逃げても、断っても、諦めようとしなかった。

有紀は本当にしつこくて……。
どうやら、俺がライブをする日を調べて待ち伏せをしているみたいだった。

本当に嫌になるくらい、ライブの度に追い回された。

ずっとつけ回されるのは堪ったものじゃない!
そう思って観念した俺は、有紀の話を聞くことにした。
聞けば満足してくれると思ったんだ。

でも、その考えが甘かったことを俺は後で知ることになる。

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【有紀】
「俺と一緒にバンドを組まないか?」

有紀は俺をまっすぐ見つめ、ストレートな言葉で俺を誘った。

【成海】
「あ、あの……お誘いは嬉しいんですけど……」

アメリカでのことが脳裏を掠め、俺はほとんど無意識のうちに、断りの言葉を口にしていた。
でも、有紀はそれを遮った。

【有紀】
「一度でいいから、俺と忍の音を聴いてくれないか?」

有紀の切実な言葉が、俺の胸を刺した。
注文していたジュースは氷が解けてしまい、グラスの中でカラン、と音を立てる。

【有紀】
「一度でいいんだ。それでお前のお眼鏡に適わないなら、諦める」

【有紀】
「勝手なことを言ってるのは分かってる。
でも、一度も音を聴いてもらわずに、お前を諦めることは出来ない」

多分俺は、まだ心のどこかでバンドを組みたかったんだと思う。

だからここに来て、ノーと言えなかった。

その気持ちは、有紀にあっさり見透かされ
有紀の気迫と強引さに押されたこともあり、渋々承諾をした。

その日は夜も遅かったので、連絡先を交換して別れを告げた。

それから数日後――。

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有紀に呼び出されたスタジオで俺は、顔の怖いベース――って言うと
怒られそうだけど……黒沢忍を紹介された。

忍も渋々呼びだされたって感じで、
バンドを組む気にはならないって豪語していた。

けどベースを弾き始めると一転、忍の顔は真剣なものに変わった。
その顔は『もうバンドはやらない』なんて思っているようには感じない。

それは有紀も同じ。

最初の印象が嘘のように、真剣な顔つきで、ギターを愛おしそうに奏でていた。

一度だけ。

そう言われて聴かされた彼らの音は、俺の心を強く揺さぶった。

高い演奏技術だけじゃなく、情熱的で攻撃的なギターに
それをサポートしながらもしっかりと自分を主張してくるベース。

このギターには、このベースがいなきゃいけない。
逆にこのベースには、このギターがいなきゃいけない。
――そんな音だった。

彼らの音の洪水を耳と肌で感じて、俺は溺れないようにするので精一杯。
気づけば、言葉を失っていた。

もっと、もっと、もっと聴いていたい……!

その興奮が飛び火したのか、俺は促されるまま
昔から好きだった洋楽を有紀と忍の演奏で歌った。

その時、はっきりと自覚した。
俺がやりたかった事は――バンドなんだって。

生の音、仲間達の情熱……それを感じて歌う事は、すごく楽しい!

歌い終わると、俺の歌は忍に届いたみたいで……。

【忍】
「諦めずに、ずっとベースを続けてきて良かった」

忍はちょっと泣きそうな、それでいて嬉しそうな顔をしていた。

【忍】
「俺がベースを続けてきたのは……きっと、お前と有紀とバンドを組むためだったんだと思う。
だから……」

【成海】
「やらせてください!」

俺の目をまっすぐに見つめる忍。
だから、その先の言葉は俺が奪った。

【成海】
「俺も、あなた達と一緒にバンドがしたいです!
俺を……あなた達のヴォーカルにしてください!
お願いします!」

――こうして、俺と有紀と忍はバンドを組んだ。

それが『apple-polisher』。
俺の、新しいバンドになった。

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俺達は数ヶ月の間に精力的に活動を続け、
あの有名な音楽事務所DYNAMIC CHORDの社長に声をかけられた。

だが、俺達はデビューのチャンスを断った。

社長の『俺たちの演奏には遊びが足りない』という言葉が頭から離れなかったのと……
俺が次の年にはアメリカに戻らなくてはいけなかったからだ。

すると社長は、日本へ戻ってきた時は
またうちへ声をかけてほしい、と
俺達の事務所入りを一時保留扱いにしてくれた。

そして、両親がまたアメリカへ転勤になったのをきっかけに、
活動拠点をアメリカへ移した。

――もちろん有紀と忍も一緒に。

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そこで俺は、もう1人の男と出会った。

彼は俺達に足りなかった、最後のピース。

アメリカでの日々は、充実し過ぎるほど充実していた。

元々、俺にとっては慣れた土地という事もあり、
日本にいた時以上にのびのびと歌う事が出来た。

有紀と忍も、最初は英語が喋れず苦労していたみたいだったけど……それも最初だけ。
すぐに馴染んでしまった。

そうして3人でライブを続けていくうちに、俺達は自分達の欠点に気づく事が出来た。
同時に、社長が言った言葉の意味を理解し始めていた。

俺達は完璧に演奏をしようとするから、つまらないのだ。
ライブにしろ、ショーにしろ、他人に自分の芸を見せるというのは、エンターテイメントだ。

自分1人が満足しても意味がない。
人に見せるのが仕事なんだから、
見てくれる相手を楽しませなきゃ意味がない。

それに気づいてからの俺達は、
全力でやりつつも、肩の力を抜いて演奏する事が出来た。

手を抜くのとは違う。音に親しみを持てるようになっていった。
でも、ギターとベースだけではどうしても音の広がりに限界がある。

俺達は徐々に、ドラムの必要性を感じ始めていった。

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馴染みのライブハウスで知り合った女の子、末永歌奈にその事を話したのは、
3人で『ドラムがいない』とため息をついていた時だった。

出来れば日本人で、今はフリーで活動中、もちろん上手なドラマー。

そんな都合のいい人いるわけない……と、俺達は思っていたけど、
歌奈は「いるわよ」と事もなげに言ってのけた。

演奏技術はトップクラス。
ただし、性格に『難あり』。

それが――音石夕星だ。

【夕星】
「あんた達うまいの? 僕、下手な人きらーい」

最初の印象は最悪。

正直、最初は俺達3人とも夕星の事を『嫌い』だと思ってしまった。

その性格ゆえに、どのバンドでもケンカになり、お払い箱になってしまう。
でも……彼の演奏技術は本当に高く、今の俺達には足りないものをすべて持っていた。

正直、ほしい……と思った。

夕星もまた、俺達の演奏に何かを感じてくれたみたい。

そして俺達は、有紀曰く『狂犬』の夕星をメンバーに加え、
apple-plisherは4人になった。

それからしばらくして、俺はハイスクールを卒業。

それを機に両親へお願いをして1人で……
正確には、メンバーと4人で日本へ戻った。

もっと正確に言うと、夕星だけは都合が悪くて
後から遅れての帰国になったけど。

それから俺達は、渡米前に声をかけてくれていた社長へ改めて連絡をした。

そして――それから数ヶ月後。

俺達は、DYNAMIC CHORD株式会社からデビューする事が決まった。

有紀は、周りの目を気にする事なく、いつか自分の音楽が出来ると信じて、
サポートでギターを弾き続けた。

忍は、諦めたつもりでも諦めきれず、人知れないところでベースを弾き続け、
いつか演奏出来る未来を期待しないふりして、誰よりも期待していた。

夕星は、自分の個性を持て余し、他人との衝突を繰り返して、
それでも自分の音を信じ、ドラムを叩き続けていた。

俺は、バンドを組みたいと願いながら、またダメになってしまう事を恐れ、
それでも誰かとバンドを組みたいと願い続けていた。

そんな俺達が出会った事が必然でないのだとしたら、何だと言うのだろう。

俺には、俺達の出会いに他にふさわしい言葉を知らない。

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【夕星】
「なるなる~? 何ボーッとしてんのぉ?」

夕星が目の前で、ヒラヒラと手を振るので
我に返り、苦笑いを浮かべた。

【成海】
「ごめんね。また昔の事、思い出しちゃった」

【夕星】
「今日のなるなるは、よく昔の事を思い出すねぇ」

【有紀】
「そんなに今が辛いのか?」

【成海】
「そうじゃないよ。
ただ……もうすぐ俺達、デビューして1周年でしょ。
だから、いろいろ思い出す事が多くって」

【成海】
「新曲の収録したばっかりだからかな?
デビュー前いろいろ話し合ったよね。
ほら、デビュー曲は誰が作るか! とかさ」

【有紀】
「ああ……懐かしいな」

【成海】
「ケンカもしたけど、俺は有紀に『Against the Rules』を
作曲してもらえて良かったって思ってるよ」

【成海】
「アメリカで手に入れた、俺達だけの『遊び』と
夕星のエレドラがちゃんと融合していて……俺達らしさが出てるよね」

【有紀】
「成海の歌詞も良かったよ」

【成海】
「ありがとう、有紀。あれからいろんな事があったけど……
また新しく曲を作らせてもらえるのって、すごい事だよね」

【有紀】
「それだな。新曲を作っていいって事は、
世間からちゃんと求められてるって事だ」

有紀の言葉に、俺は大きく頷く。

次の新曲は、有紀が作詞作曲をする曲と、夕星が作曲、
俺が作詞をする曲の2曲になっていた。

その夕星の曲が、ふいに耳の奥へ響いた気がして、
俺の胸に小さな痛みを与えた。

【夕星】
「ねぇ~、まだまだまだまだまぁーだぁー?」

【有紀】
「もうそろそろなんじゃないか?」

【夕星】
「僕飽きたぁ~。帰るぅ」

【有紀】
「こらこら、まだ始まってもないだろ。大人しくしろよ」

【夕星】
「だってさぁー」

夕星の声に合わせたかのように、会場が暗転する。
すると会場のファンが歓声を上げ、一気に席を立った。

ライブが始まるこの瞬間の高まりは、何度味わっても興奮してしまう。

ぱっと明かりがついたと思ったら、ステージには今日の主役、
grieflullabyの翼さんを真ん中に、桔平さん、裕貴さんが現れた。

そして……俺達の大事なベース、忍もいる。

忍のベースは相変わらずまっすぐで、熱くて……
いつも通り、しっかりギターをフォローしていた。

でも、やっぱり俺達の音楽じゃない音楽を弾く忍はなんとなく遠くに感じてしまう。

俺はそんなステージをボーッと見つめながら、
胸の奥に残り続ける、夕星の曲に耳を傾けた。

だってあの曲を聴くと、どうしても
『あの子』の事を思い出してしまうから――。

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apple-polisherの出会いから結成を成海視点でお届けしました。
次回はデビューをしてからゲームが始まる2016年2月までの出来事を成海視点シナリオでお届けします!

お楽しみに

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4バンドのV editionが揃ったところで、これまでにV edition発売時に旧ブログにて掲載した[rêve parfait]Liar-SKYOHSOスマートフォン用壁紙も再掲載いたします!

※画像をクリックで大きい画像が表示されます

■[rêve parfait]

■Liar-S

■KYOHSO

 

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DYNAMIC CHORD コラボ情報
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コラボカフェ本舗様とDYNAMIC CHORD JAM&JOIN!!!!のコラボが6月30日(土)まで東京と大阪で開催中!

 

先日秋葉原店さんにこっそりお邪魔させていただきましたので、店内の様子をお届けします

好評につき、秋葉原店さんではグッズは売り切れてしまったとのことですが、おいしいコラボフードや可愛い店内装飾でお迎えしていただけます!

壁には来店いただいた皆さまのコメントやイラストも掲示されていました!
たくさんありがとうございます(=゚v゚)

明後日までの開催なので、ぜひ足を運んでみてくださいね

 

・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。・。

 

昨年9月の制作告知から、先月発売されたミニアルバムに続き、V editionも発売日を迎えました。
こうしてお手元に届けることが出来たのも、apple-polisherを応援してくださるEveの皆さま、そしてDYNAMIC CHORDを応援してくださっている皆さまあってこそです。本当にありがとうございます!

PS Vitaでいつでもどこでも持ち運べるようになったapple-polisherの物語を、ぜひ皆さんの日常のそばにおいてあげてくださいね!

そして[rêve parfait]Liar-SKYOHSOapple-polisherとの、甘く激しく魂震える物語を、何度でも楽しんでください。

 

さて、5月より毎週お届けしてきたDYNAMIC CHORDブログですが、ゲームの見所特集は来週7月4日の更新で一旦一区切りとなります。

ブログの更新は不定期に戻りますが、今後もDYNAMIC CHORDの様々な展開をお届けしてまいりますのでお楽しみに!
連続更新はあと一週…最後までお付き合いいただけたら嬉しいです(=゚v゚)

ですがその前に…

honey 10th memories夏の宝石“peridot summer”新情報が明日公開されます!!

DYNAMIC CHORDではどんな展開をするのか、ドキドキしながら待っていてくださいね

 

それでは、また来週お会いしましょう

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