【主人公】「きっと私に、大好きなお兄さんを取られたと思ってるんですよ」

【誉】「取られたって……ふふっ。僕はずっと前から、君のものなのにね」

【主人公】「え!? そ、そんな事……」

いきなり言うから、何て言えばいいか分からない。

そんな私に、誉さんが顔をのぞき込んだ。

【誉】「僕は君のもので君は僕のもの、でしょ?」

【主人公】「そ、それは……違わない、です」

さらに近付く顔にドキドキしながら首を横に振った。

【誉】「ふふっ、良かった」

誉さんの優しい微笑みにうるさいくらい心臓が高鳴った。

【主人公】「私の心も、身体も……全部誉さんのものですよ」

【誉】「……すごく嬉しいよ。僕はね、こう見えて結構わがままだから君の全部が欲しいんだ」

私の腰に手を回し、そのままおでこをくっつけた。

【主人公】「私の、全部?」

【誉】「うん。君の目が、僕を見なきゃ嫌だし君の唇が、僕の名前以外を呼ぶのも嫌だ」

誉さんの熱い気持ちが穏やかな口調で紡がれる。

【誉】「君の手にいつも触れていてもらいたいし君の心臓が僕に触れられたことでドキドキしてほしい」

【主人公】「誉さんに触れられたら、いつもドキドキします」

【誉】「ふふっ、実は僕もなんだ……」

不意に、笑い声が止まる。

視線が絡まり、どちらともなく唇を、寄せる。

夜空の下の甘い口付け。

とろけそうなキスに、うっとりと目を細める。

【誉】「そんな顔しないの。我慢出来なくなるでしょ」

【主人公】「その……我慢しなくても……」

【誉】「……いいの?」

自分で言った事なのに恥ずかしくて、うつむきながら小さく頷いた。

すると、誉さんの手がほっぺたに触れた。

そっと、ガラスに触れるように優しく顔を持ち上げる。

誉さんのキスはほんのりココアの味。

その甘さに、目眩がした。

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